夫や妻が浮気をしていたことを知ったとき、頭に血が上って相手に罵声を浴びせたり問い詰める人は多いでしょうし、そうなるのは当然の感情の表れでしょう。

しかし、これから先を考えたときにこの行動は正解ではありません。

感情的になって浮気していることを問い詰めたがために警戒されて尻尾を出さないように行動されてしまっては、離婚や慰謝料請求に必要な浮気の証拠の確保が難しくなります。

まずは気持ちを落ち着かせて、「旦那(嫁)の不倫の証拠を確保して、離婚するか、慰謝料請求して相手と別れさせて夫婦関係をやり直すか考えよう」と冷静になることが大切です。

ここでは、そもそも浮気の証拠とはなにか、そして、「これは浮気の証拠になるものなのか?」という疑問に一つ一つ丁寧に解説していきます。

全部読むのに7分ほどかかります。

浮気の証拠とはなにか

浮気による離婚請求についてネットで調べると、「裁判離婚で勝つためには、浮気の証拠が必要です」といった記述が多く見受けられます。

ではそもそも、「浮気の証拠」とはなにを指しているのでしょうか。

じつは、法律上は「浮気の証拠」といった言葉はありません。法律の条文では、「不貞行為」と呼ばれています。

民法770条を見てみましょう。

第770条
1.夫婦の一方は、以下の場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき。
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
  3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

2.裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

民法770条第1項第1号に、不貞行為があれば、離婚の訴えを提起できると明記されています。

不貞行為の法律上の意味は、「配偶者のある者が、他の異性と性的関係をもつこと」をいいます。つまり、単に交際しているカップルではなく、結婚していることが条件であり、且つ、浮気相手が異性であることが必要です。そして、「性的関係」とは、セックスのことを指し、キスや抱擁、胸を触る、オーラルセックス等の性類似行為は含まれません。

 

では、どんな証拠を集めれば、不貞行為があったと認められるのでしょうか。

そもそも、ホテルや浮気相手の部屋に乗り込んで撮影するわけにもいきませんので、セックスしているところの写真や動画なんてそうそう簡単に手に入りませんよね。

もちろん、これまでの判例でもその点は考慮されていて、「セックスがあったと強く推認できるだけの証拠」があれば、不貞行為があったと認められています。つまり、実際にセックスしている映像がなくても、「恐らく二人の間ではセックスがなされたであろう」と思われる証拠があれば良いということです。

そこで、この後に、「これって不貞の証拠になる?」と思われるものをひとつづ紹介していきいますので、一緒に見ていきましょう。

また、不貞行為といった法律用語よりも、「浮気」の方が皆さんに馴染みやすいと思いますので、このサイトでは「不貞行為の証拠」のことを、「浮気の証拠」と置き換えて解説していきます。

浮気の証拠になるもの

証拠には二種類あるのをご存知でしょうか。それは直接証拠と状況証拠と呼ばれるものです。

直接証拠とはある事実を直接的に証明してくれるもので、状況証拠とはある事実を間接的に証明するものです。

これを浮気の証拠にあてはめると、直接証拠があればそれだけで離婚請求や慰謝料請求が認められますが、それに対し、状況証拠はあくまでも間接的に浮気があったと証明するものですので、複数用意しておかないと裁判で勝つことは難しいでしょう。

それでは、浮気の証拠をこの2つに分けて解説していきます。

直接証拠になるもの

1.ラブホテルへの出入り写真や動画

ラブホテル(ファッションホテル)への出入り写真が撮影できれば,裁判においても強力な浮気の証拠となります。

そして、慰謝料や離婚請求が完全に認められるには,各種判例的に1回のラブホテルの出入り写真で十分とと言われています。なぜならラブホテルは、ビジネスホテルやシティーホテル等と違い、通常は男女が性的行為をすることを前提としているため、たった1回の出入りでも決定的な浮気の証拠として裁判でも扱われます。
※探偵社の中には、「ラブホテルへの出入り画像でも、1度だけでは訴訟で勝てませんよ」と説明をするところがありますが、 調査日数を増やすための営業トークですので要注意です。

なお、浮気の証拠として認められるためには、男女が一緒にラブホテルに出入りする様子の写真や動画が必要と言われてますが、では、時間差で別々にラブホテルに出入りしたら一緒じゃないから証拠にならないのでしょうか。

この場合は、ラブホテルに出入りする前後の二人で行動する写真や動画があれば浮気の証拠となります。

男女二人が合流し、ラブホテルに行くまでや出てきた後に一緒に行動している撮影画像があれば、たとえ二人が時間差でラブホテルに入った場合でも、一連の流れからして、二人が同室に入ったという強い推測が働きますので、裁判で負けることはありません。

2.性行為そのものの写真や動画

  1. パートナー(夫や妻)の様子が最近変なので携帯を覗いたら、自分以外の異性とのセックスの動画を発見した。

  2. 探偵事務所に浮気調査を依頼したら、カーセックスの映像が撮れた。

  3. 自分がいない間に家に浮気相手を招きいれている気配を感じたので隠しカメラを設置したら、セックスしている映像が撮れた。

これは言うまでもありません。これらは全て、決定的な浮気の証拠となります。そもそも法律上、浮気と認められるためには「肉体関係があった証拠」が必要となりますが、セックスの動画はまさに「肉体関係」そのものを示すわけですので、1度の撮影だけでも訴訟で勝てるでしょう。

なお、セックス(挿入を伴うもの)ではなく、性類似行為(オーラルセックスなど)の場合は法律上は不貞行為にはなりませんが、民法770条5条の「婚姻を継続し難い理由」に該当して離婚や慰謝料請求が認められる可能性は十分あります。

状況証拠となるもの

1.キスの写真やプリクラ

キスは浮気になるか?人によって様々な考えがあるでしょうが、大抵の人は、自分のパートナーが他の異性とキスをすれば、浮気(身体の関係を伴う)されたと思うのではないでしょうか。

しかし、裁判においては、キスの写真のみで浮気があったとは認められません。キス=身体の関係があったとまでは判断できないということでしょう。

また、例えば、「酔った勢いで飲み屋の女性にキスをした」「大様ゲームで指名されて」といった場合にも浮気と認定して慰謝料や離婚が認められると、日々訴訟合戦となり裁判所の機能がパンクすることは目に見えています。

ですので、キスの写真はもちろんのこと、浮気相手と腕を組んでいたり、頬を寄せ合っていたり、抱き合っていたりしている写メやプリクラも、それらだけでは浮気の証拠とはならないのです。これ以外に複数の状況証拠を準備する必要があるでしょう。

2.メールやLINE、SNSなどのやりとり

「愛してる」「好きだよ」「また会いたい」といった、親密な間柄の男女間で交わされる、ラブメールやLINE、SNSなどでのやりとりは、浮気の証拠となるのでしょうか。

これについては、実際に裁判では次のような言い訳が主張されることが多く、やはり直接証拠とはなりません。

「好きだとか愛してるという内容は,メールによる擬似恋愛ごっこです。キャバクラと同じく単なる擬似恋愛で,肉体関係も恋愛感情もありません。妻(夫)がいるのに本気の恋愛をするわけがありません」

たしかに、「愛してる」「好きだよ」といった好意を伝える内容のメールだけでは、『肉体関係があった』と証明することができないため、法律上の浮気(不貞行為)として認めてもらうことは困難といえます。

では、身体の関係があったことが明白な内容のメールがあった場合にも、不貞行為の証拠となり得ないのでしょうか。例えば、「昨夜のエッチ、すごく良かったよ」とか、「コンドームつけないでしちゃったから、妊娠が心配」とか、そういった内容のメールを指します。

一見すると、このようなメールがあれば肉体関係があったと十分推測できますので、慰謝料請求が認められるようにも思えます。しかし、裁判上ではやはり、メールのやりとりだけで不貞行為があったと認められることはありません。上記と同様、「単なるメール上での言葉遊びだった」と言い訳をされてしまえば証拠として不十分と判断されてしまうからです。

状況証拠も数多く集めれば浮気の証拠になることも

状況証拠が、「それ単体では浮気の証拠にならない」ことはお伝えしましたが、複数集めることで効力が高まり、訴訟の場において裁判官に「二人の間に肉体関係があったであろう」と認めてもらえることもあります。

たとえば、

  • 「昨日会えてすごく嬉しかったよ。また会いたいな」とメールでやり取りされていて、そのメールのやり取りの前日付けのラブホテルの領収書が鞄やポケットから発見された場合
  • 浮気相手の自宅への出入り写真のほかに、二人がキスしている写真やプリクラなどが見つかった場合

このように複数の証拠を組み合わせれば、「この二人の間に肉体関係があったであろう」と強く推測できる場合には、裁判で勝てる見込みが高くなるということです。

ただし、肉体関係があったか無かったかを判断するのは裁判官であり、その他の諸事情を勘案して判決が下るので、一概に「裁判で勝てる」「勝てない」と言い切ることはできないので注意が必要です。

浮気の証拠を残すときの注意点

メールやSNS、LINEのやりとりを証拠として保存する際の注意点ですが、プリントアウトではなく、必ず、メール画面を、写真か動画で撮影しておいてください。プリントアウトの場合だと、「本文を改ざんされた!」と後で浮気した本人が反論できる余地が残るからです。

また、メールの保存をする場合は、ヘッダー部分(送受信日時や、送信者・受信者の名前が記載された箇所)、送信者・受信者のメールアドレスの撮影も必須です。弁護士照会制度を利用すれば、後々、メールアドレスから個人を特定(氏名・住所)することも可能だからです。

浮気の証拠の4つの役立て方

ここでは、浮気の証拠を得るとどんなことに役立てることができるのかについて見ていきます。

1.慰謝料請求

浮気をしたパートナーと離婚するにしてもしないにしても、やっぱりケジメはつけさせたいですよね。もちろん、パートナーの浮気相手にもです。

ケジメのつけさせ方として、精神的損害による慰謝料請求をするのが一般的ですが、日本では「証拠裁判主義」がとられているため、その際には必ず「浮気の証拠」が必要となります。

2.裁判離婚

話し合いや調停を行っても、相手方(不倫をしたほう)が離婚をしたくないと主張した場合には、裁判で離婚することを争わなければなりません。

これを裁判離婚と言いますが、強制的に離婚を認めてもらうためには、「離婚事由」という、離婚を認めるだけの正当な理由が裁判で求められます。

浮気・不倫(法律上は「不貞」といいます)は「離婚事由」として法律で明確に定められているので、浮気の証拠さえあれば、裁判でも離婚が認められることとなるのです。

3.親権獲得

離婚する時に、お子様がいる家庭では親権をどっちにするかで争うことも多いですよね。そんな時も、浮気の証拠は役に立ちます。

裁判で親権問題を争う際にも、「家庭をないがしろにして配偶者以外の異性と肉体関係を持つ人に親権を渡していいものか…」といった印象を裁判官が抱く材料にもなるからです。

4.浮気相手とパートナーを別れさせるツールとして使う

「子供もいるので離婚はできればしたくない」「慰謝料はいいからとにかく相手と別れさせたい」という考えの人も多いのでは?そんな時も役立つのが不貞の証拠です。

「浮気相手と別れないなら離婚もするし、慰謝料もきっちり払ってもらいます!!」とパートナーやその浮気相手に、不貞の証拠を突きつけたらどうでしょう?本気の交際ならいざしらず、遊び気分で浮気していたとすれば、多額の慰謝料を払いたくないので、あっさりと別れてくれることもあるのです。