私と夫は同じ職場で出会い、いわゆる職場恋愛の末の結婚でした。

夫は私のひとつ年下の同期で、地元も同じだったこともありすぐに意気投合し、交際が始まりました。

彼は社内の女性社員たちから魅力的な視線を集めるほど整った顔立ちをしていましたが、その見た目とは裏腹に大食漢です。交際のきっかけも、私が作ったお弁当の味を気に入り、いつも美味しそうに食べてくれていました。結婚後も変わらず、飲み会などで仕方がないときはともかく、できるかぎり私が作ったものを食べるようにするほどでした。

まさに胃袋で彼を捕まえたはずの私でしたが、彼は完全には捕まっていなかったようです。

私たちが結婚した翌年、彼は昇進し部下を持つようになりました。

始めてできた部下は男性2人に女性1人おり、夫を含めた計4人のグループで一班となり企画を運営することになったと、嬉しそうに話していました。ここから少しずつ夫の生活や態度に変化が見られるようになりました。

夫はまず、部下たちと積極的にコミュニケーションを図るべく、お昼や夕食を共にするようになりました。

当然外食が増えてきましたが、相変わらず私の作ったものを美味しそうに食べてくれます。なにより私自身、夫が同期の中では一番乗りで昇進したことに浮かれていたのか、帰りが遅い日が連日続いてもあまり不満は感じませんでした。

夫が部下とのコミュニケーションをとりだしてから数か月たった頃には、随分と仲の良いチームができていました。チームだけで食事に行くこともしばしばあるようでした。特に、Aさんという方と頻繁に連絡をとっているようでした。夫が堂々とAさんとのことを話すので、私は2人のうちのどちらか男性だろうと思っていました。

そんなある日、夫が雨のなかずぶ濡れのなか深夜に帰宅しました。

朝は傘を持たせたはずなのに、何故こんなに遅く濡れて帰ってきたのかを尋ねました。すると夫は、仕事が終わらず残業していて帰ろうと思ったら傘がなくなっていたことに気付き、仕方なくそのまま帰宅したのだとはなしました。ひとまず風邪をひいてはいけないので、私はすぐに夫に風呂をすすめ、濡れたスーツや靴、鞄を整えていると一通のメールが届きました。

誰からかと思い、着信表示をみるとAさんの名前だったので仕事関係のメールだとすぐに思いました。

けれどその時、好奇心がわいてメールを開いてしまいました。

てっきり、男性からの業務メールかと思っていたら中身は若い女性が使うような絵文字や加工が施されていました。更に内容も、仕事とは全く関係のない内容が記されていました。

夫は、傘は誰かに盗られたのだと話していました。けれどメールの送信者は、つい先ほどまで一緒に過ごしていたこと。傘を貸してくれたこと。(夫がAさんに対し)愛していると言ったことへの嬉しさと、自分も同じ気持ちであることを伝える内容をメールにしたためてしました。

見てしまった後、ここ最近夫に対して抱いていた疑問がひとつひとつ浮かび上がってきました。

夫から聞く話の中で、Aさんに対する言動が男性ではなく女性へ向けるものであったこと。男性同士でここまで親密になるだろうかと疑問に抱くほど、毎日連絡をとりあう様子。一日一度は出てくるAさんとの出来事。帰りが遅い日は夕食の量が極端に減り、味付けに対して口を添えるようになったこと。

すべてAさんと浮気をしているものと想定して考えればぴったり当てはまるのです。

この時メールを見たことは、夫には話しませんでした。もっとしっかりとした確証を得てから話をしようと思ったからです。東京興信所に今回のことを相談し、証拠集めに協力してもらいました。

それから数日、夫の行動を尾行調査した調査員から調査中の様子を説明して頂きました。それはもう、何故もっと早く気付かなかったのかと思うほど、夫の行動は明らかなものでした。

職場恋愛だった私たちですが、結婚後私は他店に移動し、夫は新しい部署へと移動になり私たちの事をあまり知らない人が多い環境だったとはいえ。夫が既婚者であることは変わりありません。それなのに、夫は堂々とAさんと2人で行動し、お昼はもちろん出退勤までも一緒だというのです。

お昼は外食がもっぱらでしたが、時にはAさんがお弁当を作ってきてそれを食べているというのです。

なにより傷ついたのは、私が作ったお弁当の中身をゴミ箱に捨ててまでAさんのお弁当を食べていたということです。毎回美味しかったといってお弁当を渡してきてくれた、あれは嘘だったのかと涙が止まりませんでした。

知人は夫とAさんとの行動を写真押さえてくれていたので、これを夫へ見せると、夫は顔色を変えてすぐに謝罪と言い訳を始めました。彼女とは何もない。食事はいくけれど、体の関係はない。信じてほしい、と。平気で妻が作ったお弁当を捨ててまで他の女性のお弁当を食べるような人の話を、誰が信じるでしょうか。私はもう夫に関して信頼できなくなっていたので、結婚して3年で離婚となりました。

このことが会社に知れた夫は地方へ飛ばされ、Aさんは自己退社したそうです。

まだ若かったAさんには気の毒だったかもしれませんが、既婚者であることを知った上で不貞を働いた彼女に非があると思っています。せめてのもの救いは、私たちの間にはまだ子供がいなかったことです。子どもいたらもっと悲しい事態になっていたことでしょう。