妻の浮気相手の男からのメールを読む夫

私は普段人見知りが強く、顔も見たことがない他人に携帯を教えることはないのですが、

ある日を境に見知らぬアドレスから私の妻が浮気をしているという内容のメールが送られてくるようになりました。

私の妻は、私とは違う業種の仕事に就いています。職種は違えと、家に帰ればお互いの仕事のことも話したりしますし、結婚して5年経った今でも仲が良いと言われるほどには夫婦間の関係が良好です。

まだ子供はいませんが、いずれは家族を増やしていきたいとも話をしているだけに夜の方にも何か問題があるようには思えません。

きっとどこからかハッキングしてきたイタズラメールだろうと思い、すぐにウイルスチェックをした上でアドレスの変更をしました。その日は何もなかったのですが、翌日にまた妻の浮気相手と名乗る相手から浮気に関する内容のメールが送られてきました。

相変わらず見覚えのないアドレスから、事細かに妻との関係が書かれていて本当かどうかも疑わしく思っていました。けれど、こうも毎日何度も送られてきては次第に妻に対しても不信感を抱くようになっていきました。妻もそれに気付いたのか二人の間で喧嘩が絶えなくなっていました。

ピリピリした家の雰囲気にいたたまれず、わざと残業して会社に遅くまで残るようになりました。

私が急に残業を増やしたことに周りは不思議に思っていたようで、同僚のAにもどうしたのかと声をかけられました。私はAと同期入社で、結婚すると言った時も自分のことのように喜んでくれるような情に厚い人物でしたので、Aに相談に乗ってもらうことにしました。

事の経緯を説明すると、Aはそのアドレスが誰のものか調べてもらうのは難しいだろうから、直接妻に確認したほうがいいと言われ、そのまま妻にメールのことについて聞いてみることにしました。

こんなことを聞かれては激怒されるに違いないと、腹をくくっていたのですが、妻はびっくりしたような、または青ざめたような顔色になりながら自分の携帯を渡しに見せてきました。

すると、妻にも私に送られてきたアドレスと同じ人物から私の浮気相手と称して、浮気相手との関係を書き連ねたメールが送られていました。

メールの内容は私とほとんど変わらず、浮気をしているのが私か妻かという違いでした。

このメールは私がアドレスを変更した後から届き始めたといい、私が妻を疑っていたように、妻もまたこのメールによって浮気を疑っていたことが分かりました。互いに身の潔白を証言し、信じあうことで疑いは晴れましたが、今度はこのメールの送り主が誰なのかを突き止められていません。

私と妻は、東京興信所に事情を説明したうえでメールの送り主を調査してもらいました。

調査を依頼して犯人が特定するまでの間、変わらずメールは届きました。いくら受信拒否にしたところで、また新しいアドレスで送られてきます。こうなってくると、受信拒否をしていない身近な人物が犯人ではないかと薄々気づいていました。

調査結果がでたと連絡を受け、調査員の方から報告を聞いたのは、それから2週間後のことでした。

私と妻周辺人物すべてを調査してもらった結果、犯人は私の同僚であるAことが分かりました。

A自身は妻と直接連絡をとりあう仲ではないので、何故アドレスを知っているのか分からずにいると、Aの友人の中に妻と共通に友人がいることが分かり、その人を伝ってアドレスを入手していたことが分かりました。今まで親身になって相談に乗ってくれていたAが犯人であることがショックすぎて、しばらく呆然としていました。

後日、Aと妻の友人を自宅に呼び事を起こした理由を聞きました。

Aの目的は、私と妻を別れさせて妻をとろうとしているのだろうと考えていたのですが、その予想は少し外れていました。妻と険悪な仲にさせて別れさせた後、Aはあわよくば私と恋仲になろうとしていたのです。妻の友人は、妻に対してそういった感情は持っていなかったのですが、Aに対し大きな借りがあるとかで逆らえなかったと涙ながらに妻に謝罪していました。

突然打ち明けられたAからの告白に気が動転していた私を余所に、妻がAに対し今回のことで溜まった鬱憤を晴らすように説教を始めました。まさか男に夫をとられそうになるとは思っていなかったと、泣きながら怒る妻に、私は何故か申し訳なくなっていきました。

Aは深く反省していると告げましたが、私はもう彼の事を信頼できなくなっていたので、人事部に事の一部始終(一部伏せた状態)で説明し、彼は翌月には他県へ移動となって行きました。

移動までの一か月の間がとても息苦しかったのを今でも覚えています。

Aは妻と正面切って話し合うことで私たちの関係を悪化させたかったつもりでしょうが、結果としてより夫婦間の絆が強まり、昨年待望の子どもも授かることができました。家族ができるきっかけにはなったので、その辺りは感謝してもいいかと今では妻との会話のネタになっています。