探偵料金の実費は別請求のほうが依頼者にとっては実は安全だった

調査における実費や経費とは,尾行や張り込み、証拠撮影、報告書や報告動画作成等に費やした金額のことです。

下記に記載したものが、実費の代表的なものとなります。

  • 電車やバス、タクシーに乗る運賃
    →対象者の交通手段に合わせて尾行するさいに必要
  • 車やバイクを使用する際の車両費
    →尾行時に、レンタカーやレンタルバイクを使用する時のレンタル料。自社の車両を使用する場合でも車両費を請求する探偵社や興信所もあります。
  • ガソリン代や高速代
    →車両尾行時の燃料代や有料道路利用の経費
  • 車から徒歩での尾行に切り替えた場合に車を停めておく駐車場代
    →対象者が車を駐車させて徒歩で移動を始めた場合、駐車違反とならぬよう調査車両をコインパーキングに停めることもあります。
  • 遊技場(遊園地・映画館等)や飲食店内での調査をする際の入場料や飲食代
    →浮気カップルのデート時に立ち寄る施設に調査員も中に入って様子を撮影します。
  • 遠方出張で泊りがけで調査する際の調査員の宿泊費
    →出張先や旅行先での浮気調査では数日に及ぶ調査が必要な場合もあり、その際は調査員もビジネスホテル等に宿泊することもあります。
  • 報告書作成費 DVD作成費
  • 機材(ビデオカメラ・盗聴盗撮器発見機器等)使用料

これらが調査の実費と呼ばれるものです。

実費は調査料金に含まれていた方が良い?

稀に、調査料金のなかに、実費も全部含めている探偵社を見かけます。

上記の通り、高額な実費請求をされる恐れがある以上、調査料金に実費が含まれていたほうが安心する方は多いのではないでしょうか。

しかし、よく考えてみてください。探偵の尾行というのはなにも近距離に限られたものではありません。対象者が車に乗って高速道路に入り数百キロ先まで移動することもあれば、飛行機や新幹線で移動することもざらにあります。また、対象者が遠距離に移動した場合は宿泊することもあるため、調査員も同じホテルに泊まる必要が生じることもあります。

はっきり言ってしまえば、飛行機や新幹線で移動された場合にその実費を探偵社が負担したとすれば殆どの依頼ケースにおいて赤字となります。

にもかかわらず調査料金に実費を含ませることができる理由としては、そもそもの調査料金(単価)が他社より高いからです。対象者が遠距離移動のケースと、近距離しか移動しないケース、どちらも一律料金で成り立つのは、料金設定を高めにしてどんぶり勘定にしているからに他なりません。

もちろん、こういったどんぶり勘定の料金設定をしている探偵社の調査の質は語るまではないでしょう。

実費を利用した高額請求に注意

探偵業界の中には,『実費』を利用した高額請求の悪質な手口があります。

その手口とは,電話やメールでの見積もり段階では低料金で依頼を引き受けるように装い,実際に事務所に赴くと、高額な実費を見積もりに計上し契約させるといったものです。酷いケースでは、調査終了後になってから多額の経費を請求してくることもあります。

実費を利用した高額請求の手口はこうです。まず,ホームページを見て見積り依頼をしてきた人には 「1日○時間の調査で,調査員○名,調査費用合計が○○万円,その他実費のみかかります」と説明します。「実費」の部分をサラっと流すように話すのがポイントで、詳しい説明は当然しません。

契約直前になって次のように切り出します。

  • 「当社では,裁判でも使用できるだけのしっかりとした報告書を作成しますので,報告書作成費に○万円かかります」
  • 「調査の動画も必要であれば,DVD作成に○万円,特殊調査機材も使うので○万円も追加で発生します」

一般的に考えれば、メールや電話での見積もり段階では教えてくれなかった、高額な実費をプラスされたら、契約を断って帰るのが普通でしょう。

しかし、中には、「専門家の人が言っているのだから、そういった費用がかかるのが普通なんだろう」「これだけ長く話を聞いてもらって、契約もせずに帰るのは申し訳ない」といった理由から高額な依頼費用で契約してしまう人が多いのが現状です。

こういったお客様を騙す形で契約を迫る探偵社は得てして調査においてもいい加減な手抜きが行われることが多いため注意が必要です。