盗聴によって起こりうる犯罪と被害を防ぐための対策方法とは

盗聴とは、無断で他人の通信を傍受する行為です。日本で定められている電波法では、不特定多数の暗号化されていない無線通信を傍受することは合法的に認められてはいます。また、相手を特定し相手の室内に盗聴器を仕掛け、音を盗み聞きするのは犯罪行為です。そしてこの手の犯罪行為は、時として命に関わる重大な事件へと発展していくこともあります。それらの行為を未然に防ぐために、盗聴による犯罪行為とそれによる被害、そして対策方法をご紹介します。

≪ストーカーによる盗聴被害≫

盗聴を用いた犯罪の大半は、ストーカーによるものです。行き過ぎた恋愛感情が原因で、特定の相手の全てを知るために無断で室内に盗聴機器を取り付け、相手の私生活を盗み聞きする。盗み聞いた内容を手紙に綴って送り、いつも自分が見ている(監視している)ことを伝えます。こうなってはプライバシーも何もあったものではありません。被害者は常に見られていることを意識することで過度なストレスを受け、心身ともに影響が出始めます。犯行に及んだストーカーは、その様子を見て自己陶酔しているのです。また、好意という意味での感情だけではなく、憎悪や妬みといった感情が原因になる場合もあります。憎悪や妬みなどの感情から行う盗聴は、特定の人物のみならず家族や恋人など周囲の人物をも巻き込むことがあります。自室だけでなく、家族が集う居間、果ては風呂場や洗面所など至る所まで盗聴しようとします。そして盗み聞いた内容を利用し、相手を社会的に孤立させようとします。
また、個人ではなく会社絡みで盗聴するケースもあります。その場合は、特定の人物というよりも仕事に関する音を盗み聞こうとします。もちろん、こうした行為も全て電波法違反であり、取り締まるべき行為です。

盗聴被害に遭った人々は、総じて会話や物音を立てることに過敏になり、誰かと会話すること、室内に入れることを嫌うようになります。他人との干渉を拒絶して自分を守ろうとするあまり、以前とは異なる雰囲気・性格が生まれることもあります。盗聴する、されることで相手の人格や人生そのものが大きく変えられてしまうのです。

そうした被害を失くすために、警察を始め専門業者はあらゆる対策方法を考えだしています。
例えば、盗聴器を一人でも手軽に発見することができる機器の開発や、盗聴を防止するための対処方法があります。そもそも、盗聴器を室内に取り付けられないようにするためには戸締りをしっかりとすることが重要です。盗聴にしろ、空き巣にしろ、戸締りがなっていなければ被害に遭っても文句はいえません。また、あまり親しくない人物を気軽に自室に招き入れる行為も避けましょう。電気や水道管の点検で業者が訪れたとしても、決して目を離さず動向をチェックしましょう。
また、盗聴器は室外に取り付ける場合もあります。普段から自宅周辺に目を配り、以前にはなかったものが自宅の壁やベランダにあった場合は、用心しつつもすぐに調べることをおススメします。特に、黒い長方形の形をした箱には要注意です。コンセントやコードをまとめるコネクトのように見えますが、実はその中に盗聴器が仕込まれていることがあります。盗聴器だと思わしきものを見つけた場合は、家電量販店やネット通販で販売されている、盗聴器発見器を用いて調べましょう。安全かつ正確さを求めるのであれば専門業者に依頼し、発見から撤去までしてもらうとよいでしょう。

盗聴や盗撮といった行為の中には、国の安全を確保するために必要な行為として行われる場合もあります。しかしながら、それは極々稀な場面です。一般的に見れば、盗聴・盗撮を行うことはモラルに反する行為で、決して褒められた行為ではありません。趣味の一環として盗聴機器類を購入するのはともかく、使用の際には充分な配慮を心がけてほしいものですね。