実例で解説。意図しない写真撮影でも盗撮犯だと疑われるリスクと回避術

小型カメラやピンホールカメラなどを用いて欲を満たすために行った撮影は、盗撮行為となります。
では偶然、何の意図もないまま撮影した写真や動画は、盗撮になるのでしょうか?

ある日の休日、会社員であるAさんは趣味の写真のために近くの公園に来ていました。
Aさんは風景画を撮影することが好きで、よく晴れた日や夕暮れが美しい日にはこの公園で写真を撮っていました。空だけでなく、公園内に咲き誇る植物を撮影することもありました。

そしてその日もAさんは、のんびりと流れる空の様子をカメラで撮影していました。
Aさんは雲の流れに沿うようにカメラを動かしながら撮影を続けていると、不意に子どもを連れた女性に声を掛けられました。見知らぬ女性と子どもに何事かを尋ねると、女性がとてつもない剣幕でAさんのことを批判し始めました。実は、Aさんがカメラを向けていた先にはマンションがあり、その一室に住んでいた女性は室内を盗撮しているものを思いAさんに抗議してきたのです。
慌てたAさんは撮影した写真を女性に見せ、盗撮をしていないことを証明してみせますが納得していません。困り果てたAさんに対し、女性の怒りは収まる様子がありません。次第に人も集まってきました。

そうこうしている内に巡回中の警察が騒ぎを聞きつけ、公園へとやってきました。
事情を話すAさんと女性の話を聞き、警察もAさんのカメラと写真を確認しました。結局どこにも盗撮した記録がないことと、Aさんが休日の度にこの公園にきては空を撮っていたことを知っていた近所の住民の証言もあり、Aさんは晴れて無実となりました。近所の住民の話を聞き、ようやく誤解だと認識した女性もAさんに謝罪しました。

さて、この話のなかでもポイントは2つあります。
一つは、Aさんは空を撮っていたという認識でも、カメラを向けた方角・位置に近い所にいた人物からは「自分を映しているのではないか」という誤解が生じかねないということです。
空のように高い位置にある被写体を撮影するときは、自然とカメラを上に向けます。同時に、被写体に近い位置にいる人物からするとカメラのレンズが光って見え、被写体が自分であると思い込んでしまうのです。実はこうした誤解による被害相談というのは、少なくありません。撮影者は被写体だけを追いかけるのではなく、周囲に建物や人物がないか、撮影をしても迷惑がかからないかを確認した上で撮影を行いましょう。

二つめは、撮影した内容を他者に公開できるかどうかということです。
Aさんは、盗撮の疑惑を晴らすために被害を訴えた女性や警察に撮影した写真を公開しています。
本当に盗撮していれば、写真をみせることはまずありません。盗撮していたことが判明してしまうからです。中には撮影した中に意図せず女性の姿が映りこんでしまっていて、この写真から盗撮の容疑をかけられてしまう人もいます。その場合は、すぐに写真を消して謝罪することで疑いが晴らすようにしましょう。なんの思いも欲もなく、女性を映してしまったのならすぐに消せるはずです。逆に消すことを拒んでしまえば盗撮したとして疑われても致し方ありません。