身辺調査とは、別名、身上調査・身元調査とも呼ばれ、相手が何処の生まれで、どんな家柄で育ち、家族や親族はどういった人物がいるのか(血縁関係)、また、これまでの経歴や評判などを調べることをいいます。

個人からの依頼では、婚約者の社会的信用や経歴、或いは、好意を寄せている相手に恋人はいないか、結婚はしていないかなど、これまでの恋愛経験や結婚・離婚歴について調べて欲しいといった内容が多くあります。その中でも、婚約者や結婚を考えている相手について調べることを、「結婚調査」といいます。

参考:結婚調査 | 探偵事務所は東京興信所

会社や企業からの場合は、履歴書や職務経歴書などに詐称がないかの確認、慰謝料や損害賠償請求にあたって資産状況を確認したい場合などに調査を依頼されます。

なお、今ではあまり耳にすることはありませんが、少し前までは部落差別問題と関連した差別問題が根強く、出身地を理由に会社への採用や昇進を断る企業もありました。現在では探偵業法という法律で部落差別に繋がる調査は引き受けてはいけないと規律されています。

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身辺調査と素行調査ってどう違う?2つの調査を比べてみました

これまで調査を利用されたことがない人からすると、「素行調査と身辺調査ってどっちも同じ調査なんじゃないの?」と思う方も中にはいらっしゃるようです。でも実は、2つの調査は根本的に異なるものになります。それを証明するために以下の内容をご覧下さい。

素行調査の場合

  • 素行調査とは ・・・ターゲットの日常生活における普段の様子を調査します。
  • 調査内容 ・・・依頼者と血縁関係、交友関係、職場関係、交際関係にある人物について調査を行います。(例:父親の再婚相手について/養子に迎えるこどもの素性、など。
  • 調査方法・・・依頼者からターゲットに関する情報を提供してもらい、調査内容・目的を確認した後契約。情報を元に、ターゲットに対し尾行や張り込み、あるいは簡単な接触を図りつつ、ターゲットに関する聞き込み調査を行います。

<調査事例>
夫の帰りが最近遅く、連絡もつきにくい。浮気を疑って調査を依頼。
→1週間、夫の素行調査を依頼。結果として、やはり浮気していたことが判明。浮気相手は職場の後輩女性で、出張と称して二人で旅行に行く計画をしていたこと。マイホーム資金でその旅行にいこうとしていたことなどが分かり、現在は離婚協議中。

身辺調査の場合

  • 身辺調査とは ・・・ターゲットの生まれや血縁関係、家元などを調査します。
  • 調査内容 ・・・依頼者が調べたいターゲットの住まいや出身地、過去の結婚・犯罪歴などを調査します。(例):恋人の出身地や家族構成/取引先幹部の情報、など)
  • 調査方法・・・依頼者からターゲットの情報(名前・特徴・家族構成、など)を教えてもらい、契約。調査開始。張り込みや追跡と言った調査よりも聞き込みのほうが多く、役所に出向くなどして情報を収集する。1日で終わることもあれば1週間ほどかかることもあるが、基本的に短期間で調査を終えることができる。

<調査事例>
離れて暮らす娘の婚約者の出自に疑問を抱き、調査を依頼。
→娘の婚約者は、決して大企業の息子なわけではなく、一般家庭の次男で無職であることが判明。しかも過去にDV容疑で執行猶予つきの判決を言い渡されていたことも分かり、すぐに娘にもこの事実を伝え、婚約前に無事別れることができた。

探偵に依頼する時は目的さえしっかりしていれば、調査名まで伝える必要はない

こうしてみると、素行調査も身辺調査も似たように見えますが、その実、調査事例にもあるように調べる内容や調べる対象範囲は異なることが分かります。しかし、どちらの調査が必要なのかは依頼者の目的によって変わってきますので、目的を探偵社に伝えれば様々な提案をしてくれますので調査名にあまりこだわる必要はないでしょう。

なお、東京興信所では、部落差別に関わる調査は一切行っておりません。その他の、身辺調査・素行調査につきましてはお気軽にご相談下さい。

身辺調査をする3つのメリットとデメリット

交際前、または結婚前に相手を調べる婚前調査や企業が行う身辺調査には、メリットとデメリットがあります。これから身辺調査を行う予定の方はぜひご確認ください。

身辺調査を依頼するメリット

1.相手に知られることなく、身元を把握することができる

プロの調査員がお調べするので、相手に気取られることなく身辺調査を行うことができます。さらに、ちょっとした噂話でもきちんと真偽を見定めて調査を行います。依頼された調査の結果は書面にまとめてお渡しするので情報が混乱することはありません。

2.短期間で効率よく知ることができる

早くて翌日には調査結果をお伝えできる場合があります。また、基本的にどこの探偵事務所においても調査日数に比例して調査料金を精算しているので、なるべくコストをおさえるべく、より早くより正確な情報を集めてきます。

3.自分で調べるわけではないので、疑われるような行動をとらずに済む

もし交際相手の身元を自分で調べようとすると、どこかで不自然な様子を感じ取られ調べていることがバレてしまう恐れがあります。近しい人物ならば尚更、プロの調査員に任せましょう。

身辺調査を依頼するデメリット

1.相手の個人情報を知ることはできても、制約がかかる

身辺調査で得られる情報は、個人情報です。それも相手1人だけのものでなく、相手方の血縁関係に関する情報も含まれています。これを下手に悪用すれば、最悪な事態を招く恐れもあります。また、部落差別問題のこともあるので取扱いには充分配慮する必要があります。

2.調査日数分費用がかかる

メリットでも軽く触れましたが、調査日数が延びれば延びるほどコストがかかります。稀に、調査料金の水増しを狙って無断で調査日数を延ばすところのあるようですが、料金や調査内容に関わる契約変更は依頼者でしかできません。そのため、情報が足りないので日数を延期してくださいと調査員から連絡があれば、その時点までの調査結果を見せてもらい調査期間の打ち切りや延長を決めましょう。

3.予想していた内容と異なる場合がある

疑いかかって調査を依頼したのに、予想と違う結果に不満の声を漏らす方もいらっしゃいます。逆に、信じていたのに騙されていたというケースもあります。信じたくないといって2~3社ほど調査巡りをされる方もいるようです。あまり過剰な期待を乗せて調査を依頼すると、予想していた結果と異なる結果が出た時の落胆は辛いものがあるので、なるべく無心の状態を保つと精神的負担が少し和らぎます。

身辺調査の依頼数ランキング

身辺調査の依頼内容は様々です。それによって分かる内容も異なります。その中でも特に多い依頼内容や難易度の難しいものをランキングにしてご紹介します。

1位.ネット上で知り合った人物の身元確認

詐欺被害への対策または相手を訴えるために身辺調査の依頼は年々、増加傾向にあります。

ネットワークシステムの発達、世間のへの浸透率から恋愛や金銭にまつわるトラブルも比例して増えてきています。不確かな情報には惑わされず、怪しいと感じた時点でぜひご相談ください。

2位.ストーカーや不審人物の身元の割り出し・素性の確認

ストーカー被害に遭われている方に多い依頼内容です。

被害者自身で調べるのは相手を挑発しかねないので、外部に委託して調べた結果を警察に届け出ます。信憑性のある確かな情報・証拠が揃えば警察も対応してくれます。また、被害者の身の安全を確保しつつ確実に対処することができます。

3位.浮気相手の親元や実家の把握

夫または妻の浮気相手に対して、慰謝料の請求をする場合や結婚詐欺の疑いをもって調査を依頼されるケースです。夫や妻が、浮気相手を庇いどんな人物なのか話そうとしない。または明らかに嘘をついていると感じた時に調査を行います。

4位.交際相手の親元や実家の把握

現在交際中の相手の素性や身元が不透明で疑いがあるときに調査を行います。

特に、出会ってから短期間で結婚に至った場合、両家のご両親から調査依頼を頂くことがあります。事前に調査を行うことで、結婚詐欺への対応をとることが出来るのです。

5位.職業や勤務先からの住所確認

企業側から依頼を頂くことが多いのがこのケースです。新規雇用者を募集する際、応募してきた人物の生活の実態や配偶者の有無などを確認する調査を行います。また、消費者金融から委託で調査を行い、ローンを組むことが可能かを決める一端を担う場合もあります。

6位.商取引の相手の身辺調査

個人・法人に関わらず、自社企業の損得に関わる大きな商取引を行う相手先が、本当に信用に足る人物かどうかを判断するために調査を依頼されます。事前に調査を行うことで最悪の事態を 防ぐことができます。

7位.損害賠償の請求をする際の相手の確認

相手が個人または企業に限らず、請求元が確実に支払をできる相手かを確認します。

もしもこの調査で支払い能力がないことが分かれば、また別の対策を立てること出来ます。

事前に対策をとることで、加害者から被った被害を確実にカバーすることができます。

身辺調査の実例

交際歴10年の彼女が結婚して僅か半年後に浮気

高校生の時に彼女から猛アタックされたのをきっかけに交際を始め、10年目を迎えた年に結婚しました。

勢いに負けて付き合い始めた僕たちでしたが、思いのほか気が合い、そのまま別れ話もすることなく10年もの長い間交際を続きました。

結婚後も特に変わらず、むしろ家族になれたことで二人の仲はより深まったと感じていました。

結婚してから3か月経った頃から、彼女の帰りが遅い日が続きました。

彼女からは何も聞かされていませんでしたが、彼女は美容師の職に就いていて、交際中もショーや研修前には居残り練習で帰りが遅い日があったのでその関係かと思っていました。

けれど、その月を境に彼女が家の様子に変化が見られ始めました。

たまに一緒に買い物に出ても、彼女の好みではない露出の激しい服や下着ばかり選んで買ってみたり、髪色や化粧も今までより濃くて派手なものになっていきました。

彼女は「近々ショーがあって、そのスタッフとして出るための準備」と言っていますが、

ショーモデルでもないのに、下着や化粧まで変える必要があるのかと疑問に感じました。

自分の考えや意見を非難されることを極端に嫌がる彼女に対し、ファッション業界に疎いに僕が下手に口を出せば後々面倒なことになると思い、何も言わずにいました。

そして結婚半年を迎えたある日、高校の同窓会に僕は一人参加していました。

懐かしい面々とお酒を酌み交わしていると、いい感じにアルコールが回ってきたころ、仕事で遅れてくると言っていた彼女(妻)が、見覚えのない男性と共に来店しました。

誰だっけ?と話していると、当時隣のクラスにいた同級生だと彼女が紹介しました。

彼(Aくん)は偶然彼女の店にお客さんとして来ていて、同窓会の話をしたら行きたいと言うので連れてきたというのです。

この時参加していた男性陣の多くは、僕を含めほとんどがスーツかそれに近い恰好をしていました。

そんな中Aくんの恰好は成人男性が着るには少しだらしない、ダボついていて若者が着るような服を着て、髪色も明るい茶髪で耳にはピアスがたくさんついたままでした。同級生だけの参加なので、多少の無礼講はよしとしても、人の集まる場所で20代後半の男性がするような恰好ではありませんでした。

他の参加者も同意見なのか、Aくんと面識がある人以外は遠巻きに彼の様子を伺っていました。

ふと、彼を連れてきた彼女に視線を向けてみると、彼女はAくんの真横にぴったりとくっついていました。たまに軽いボディタッチも含みながら数人と楽しそうに会話する彼女の姿に、驚きと、嫉妬、不愉快な感情がひしめき合い、苛々して仕方ありませんでした。

会がお開きになると、彼女は驚くことにAくんを家に泊めると言いだしたのです。

理由を聞くと、仕事場がこの近辺にあること。明日は早朝からシフトが入っていて、今から自宅に帰るとあまりゆっくりできないか泊めてほしいということでした。

僕はAくんとほとんど面識がなかったのですが、同じ高校の同級生で彼女の店のお客さんといこともあり、店からほど近い自宅に一晩泊めることになりました。

帰ってからすぐに、彼の寝床やパジャマの用意をしたりなどと彼女は甲斐甲斐しく世話を焼いていました。

その間Aくんは勝手に冷蔵庫を開け、ビールを飲みながらテレビをつけるなど慣れた様子でくつろいでいました。

Aくんの慣れた様子と、ただの同級生でお客さんに対して積極的に相手をする彼女に疑問を持ちつつも、入浴を済ませいつも通り彼女と同じ布団に入りました。

それから数時間ほどでしょうか。ふと起きた時に、彼女が横にいないことに気付きました。

寝室から出ると、リビングに明かりがついていました。

水を飲みに行っているのかと、中を覗いて後悔しました。彼女は確かに室内にいましたが、彼女はAくんと裸と抱き合っていました。僕は目を疑いましたが、彼女たちは僕に気付いていないようで行為に没頭していました。

あまりのショックな出来事に、僕は静かに部屋を去りました。これ以上あの場にいたくなかったのです。

その後、東京興信所を通じて彼女とAくんの関係を調べてもらうことができました。

彼女は僕と結婚する少し前に彼女の友人たちが開いてくれた祝いの席でAくんと知り合い、それ以降関係を持っていたこと。

僕と結婚した後も関係は続いていて、彼女の店の常連であること。彼女の帰りが遅かったのは、閉店後Aくんの家で過ごしていたから。

さらに驚いたのは、彼女とマイホームを建てるために貯めていた資金を少しずつ崩してAくんに渡していたことです。

資金の管理は彼女に任せていましたが、まさかここまで裏切られていたとは思いもしませんでした。

今後は彼女との離婚を前提に、彼女の両親、そしてAくんとその両親らを交え慰謝料なども含めた話し合いをしていく予定です。

再婚を予定している相手の家族構成が知りたい

5年前に夫が病死して以来ずっと一人身でしたが、友人からの勧めで出向いた食事会でAさんと知り合いました。

Aさんは、私のこれまでの出来事をゆっくりと頷きながら聞いてくれました。その上で、結婚を前提とした交際を求められました。

30を過ぎて尚且つバツイチな私にとってこんな嬉しい話はなく、喜んでお受けしました。

その後の交際も順調で、来年の私の誕生日に入籍することになりました。

亡くなった元旦那のご両親にも再婚のお許しを乞いに伺うと自分の事のように喜んでもらえ、幸せな雰囲気に包まれていました。

ですが、気になる点が一つだけありました。

結婚の話を進めていくなかで、お互いに色々と情報の共有をしてきましたが、彼の家族の話だけは今まで聞いたことがないのです。

亡くなられているわけでは無いらしいですが、頑なに話そうとしない彼の態度から次第に違和感を覚えるようになっていきました。自然とそれまではなかったケンカもするようになり、話してもらえないもどかしさだけが募っていきました。

結婚をあと半年に控えた今、このモヤモヤとした思いを晴らすべく東京興信所に、彼の身辺調査を依頼しました。彼が仕事で不在の間の期間を狙って調査を進め、その結果が出ました。

彼のご両親はご存命でしたが、お父様は彼が小さい頃に殺人事件を犯し現在服役中であること。

お母様はお父様の逮捕・収監されたことで周囲からの批判の受けたことでアルコールに走り、現在はアルコール中毒者の治療を行う専門病棟に入院していることが分かりました。

予想以上に重い事実に結婚の破棄も考えましたが、彼自身がご両親とは違う自分で在りたいと願い必死に生きてきたことも聞いていただけに、彼との結婚を選びました。

彼のご両親に関しては、未だ知らないふりをしています。

いつか彼の口から話してくれるようになるまで、彼の気持ちの整理がつくまで彼の傍で支えていきたいと思います。

亡父の遺産弁護士と所属する団体を調べてみた

私の家は古くから製造業を営んでおり、父が数年前に病気で引退してからは長男である私が家督を継ぎ、店を営んでおりました。

それまでは一介のサラリーマンだった私には大変難しい仕事でしたが、以前より父を支えてきた母のサポートもあり、なんとか形になってきた頃に父が亡くなりました。

ずっと病床に就きながらも叱咤激励を飛ばしてくれていた父の死に一家一同悲しみにくれていた折、父の顧問弁護士と名乗る男性が現れました。

その男性は、地元では聞かない名の事務所に属する弁護士で、父の古くからの友人だというのです。

さらに、父に代わり遺産の分配手続きを行うと言いだしたのです。いきなりで何のことか全く分からず混乱した私たちは一先ず、「これから父の葬儀の手続きなどもあるので、落ち着いたらこちらから連絡する」と伝え、その日はお帰りいただきました。

その後すぐに母や父方の親戚と遺産のこと、男性の存在の事を確認しあいましたが、誰も知りませんでした。母に至っては、亡くなったばかりの人の前で遺産の話をするなんて失礼にも程がある!といって激怒していました。

そもそも、あの男性は私たちの前に現れたのは父が亡くなった当日の夕方で、親族を始め近しい人間にしか知らせていなかったのに何故すぐにここまで来ることができたのか。(父の病院と自宅は都心から車で1時間かかります)

まだまだ腑に落ちない点は多々あることから、自称顧問弁護士のあの男性について東京興信所に身辺調査を依頼しました。その間、私たちは葬儀の準備を進めていました。

そして一通りの準備や式が終わる頃を見計らって、調査員の方から報告を受けました。

訪ねてきたあの男性は、確かに弁護士の資格を有していました。

けれど、父との接点はなく、もちろん古い友人というわけでもありませんでした。

あの弁護士は、父の弟にあたる叔父が用意した方だったのです。叔父は父が亡くなったその場に居たので、弁護士への連絡も自宅の住所も伝えることができたのでしょう。

そもそも叔父と父は仲が悪く、以前に会社の売り上げを横領していたことが発覚してからは本家に立ち入り禁止になっていました。私もそのやりとりを間近で見ていたので、叔父にはあまりいい印象を抱いていませんでした。

けれど、どこから聞きつけたのか父が危篤に陥った際にすぐに駆けつけ、最期まで父を見守ってくれていたので改心したのかと安堵していました。

しかしながら、このような事実を耳にすると人という生き物は中々改心しない生き物なのだなと思えてしまします。

今回調査して頂いた内容について親族を集めて報告すると、叔父への非難が集中。

叔父はこの家のためにやったことだと最後まで言い訳していましたが、これ以上は父への侮辱と見なし、二度とこの家にも店にも足を踏み入れないよう誓約書を書かせました。

弁護士も速やかに解雇してもらい、別の事務所から正式に弁護士をお招きして遺産の整理を行うことになりました。私たちは今回の件を機に、次もまた誰かが亡くなった時にこういったことが起きないよう、親戚一同で死後の身の周りの環境整理について話し合うことになりました。

時間も日数のない中で急ぎ調査を行っていただいた調査員の方々には、深く感謝しておりますありがとうございました。

不動産売買で大きな損失を出すところでした

私は祖父の代から経営していた町の小さな不動産で働いていましたが、この歳になると体調を崩すことが増え、家族からも引退を進められていたこともあり年内いっぱいで店を畳むことにしました。

そして、閉業するにあたり、手元に残っている土地のいくつかを売買することにしました。祖父の代から付き合いのある信頼できる同業者を中心に、不動産の譲渡を行っていましたが、ある日、見覚えのない顔をした若者が土地を譲ってほしいと店にやってきました。

誰からの紹介というわけでもなく、人づてに土地の売買をやっているところがあると聞き駆けつけたと言うこの男性(Aさん)は、自動車メーカーとして有名な大手企業の名刺を渡しながら事の経緯を説明してくれました。

  • 近々この近辺で新店舗を出店する予定で、そのために手ごろな土地を探していること。
  • 土地の値段は言い値で購入すること。譲渡成立の暁には、自社製品である新型自動車を破格の値段で購入できるようにすること。
  • そのほかの土地も言い値で購入すること

こちらからすれば願ってもない好条件だったので、前向きに検討させてもらうと告げると後日譲渡に関する詳しい手続きをしにまた来ると言ってその日は帰られました。

Aさんが帰ったあと、知人から同じく土地の売買に関する手続きで電話があり、先ほどのやり取りを話の肴のつもりで話すと、知人は神妙な声で「おかしいな」と言いました。何がおかしいのか尋ねると、その知人の息子さんはAさんと同じ企業メーカーに勤めているがこの近辺に新店舗ができるという話は聞いたことがないというのです。

そこで、Aさんが渡していった名刺に書かれた番号に電話をかけてみると、現在使われていない番号であることが分かりました。もしかして騙されているのか?と不安になった私は以前にもお世話になった東京興信所へ連絡し、急ぎAさんの身辺調査を依頼しました。

電話が通じない時点で不信感は抱いていましたが、調査結果を聞いて決定的なものとなりました。Aさんという人物自体、その企業にはいないこと。近々新店舗を出店する予定はないこと。通常、営業担当者は土地の売買にまで回ることはないこと。

冷静になってみれば当たり前のことでも、早く処理しなくてはいけないとどこか焦っていたのと、魅力的な条件を提示されたことで不自然な点に気付かずにいました。あの時、知人に話していなければきっと今頃はAさんに騙されて大損していたことでしょう。

残った土地は、子どもや孫へ譲渡することにしました。子どもたちに何も残せず、苦しい思いをさせてしまう前に守ることができて、本当に良かったと思います。